理学療法士が行う「家屋調査」(かおくちょうさ)とは、主に退院や在宅生活を始める患者さんに対しての、自宅の環境が安全か?生活に支障がないかを評価し、必要な調査を行うことを目的とした調査です。
①家屋調査とは?
定義:患者が退院後または在宅で「安全・自立して生活できるかどうか」を評価するために、理学療法士などが実際に患者の自宅を訪問し、生活環境・住宅行動・動線などを確認すること
②家屋調査の目的
(1)安全確認 転倒リスクや移動の困難さのチェック
(2)自立支援 自宅で自分でできる動作の確認・支援
(3)環境調整の提案 手すりの設置、段差の解消、家具の配置変更など
(4)福祉用具の選定 車椅子、杖、手すり、ポータブルトイレなど
(5)患者・介護者への説明 介助の方法、介護負担の軽減策などの提案
③調査で確認する主なポイント
項目 チェック内容
玄関 段差、スロープ、靴の脱ぎ履き
廊下・通路 幅(車椅子が通れるか)、滑りやすさ
トイレ 手すりの有無、便座の高さ
お風呂 浴槽のまたぎ動作、滑り止め、シャワーチェア
寝室 ベッドの高さ、立ち上がりのしやすさ
台所・洗面所 立位保持の可否、道具のとりやすさ
④家屋調査後によくある提案例
・手すりの設置(トイレ、浴室、玄関など)
・段差の解消(スロープ、段差プレート)
・ベッドの高さ調整、介護用ベッドの導入
・車椅子対策の家具配置変更
・滑りどめマットの設置
・夜間照明の追加(転倒防止)
⑤調査に関わる人たち
職種 役割
理学療法士 動作確認、生活動線の評価、動作指導
作業療法士 ADL(日常生活動作)の視点で評価
ケアマネージャー 福祉用具やサービスの調整
福祉用具専門相談員 適切な用具の選定とレンタルの提案
家族・介護者 実際に介助する人としての意見提供
⑥家屋調査のタイミング
・退院が近づいたころ(退院前カンファレンスの前後)
・住宅改修を検討している時
・福祉用具の導入を考えている時
・病状の変化で生活環境が合わなくなったとき
⑦注意点
・患者本人の動作レベルと照らし合わせて評価することが重要
・家の間取りや家具の配置は、意外と頻繁にかわっていることもある
・「できる動作」ではなく「安全に継続てきるか」がカギ
(・・? 家屋調査の現場での声掛け
*「ここでベッドから起き上がるとき、足をどこに置いていますか?」
*「この段差は普段どのように上り下りしていますか?」
*「夜トイレに行くとき、電気はつけますか?」
⇒単に見るだけではなく、「実際の生活の流れ」を聞きながら評価をします。
今回は、家屋調査についてお話しました。
家屋調査をすることは、自宅での生活をしやすく、動作が楽になれば安全にもすごせます。
また、自分でできる事が増えることで介護者の負担の軽減にもつながり、
長く自宅での過ごせる体制を作ることへもつながると思っています。


コメント