こんにちは!片田舎の理学療法士です。
今回は、「脳卒中(のうそっちゅう:脳みそのある一部分の血管が詰まったり、血管が破れる)」という病気になった後に起こりやすい「片麻痺(かたまひ:片側の手足が動かしにくくなる)」について、リハビリでどこまで回復できるかを実際関わっていく中で得た経験を分かりやすくお伝えします。

脳卒中(脳梗塞・脳出血)になって体が動かしづらい……もう治らないのかな?

「片麻痺でもリハビリをがんばれば歩けるようになるのかな?」

「どんなリハビリをするのかな?期間はどれぐらいかかる?」
こんな悩みを持っている方に向けて、理学療法士の視点から経験を元に説明できればと思います。
脳卒中とは?後遺症として片麻痺が起こる理由
脳卒中の1つである脳梗塞は、脳の血管がつまって血流が流れなくなる病気です。血液が届かなくなると、脳の細胞がダメージを受け、命令を出す働き(手足を動かせ‼という指令)が出なかったり、出づらくなったりします。(もう1つの脳出血は、脳の血管が破れ血液が脳の中に流れてしまい、脳を圧迫してしまう病気です)
特に、手足や顔を動かすための脳の部分がダメージを受けると、
・片方の手足に力がはいらない(はいりにくくなる)
・歩けなくなる(歩きにくくなる)
・顔の半分だけ動かしにくくなる(よだれが口から出てしまう)
といった「片麻痺(かたまひ)」という後遺症がでることが多いです。

片麻痺はリハビリで治る?どこまで回復できるのか
「片麻痺はリハビリすれば治るの?」と落ち込まれ、悩まれる方も多いと思います。
結論としては、
⁂完全には元通りになるわけではないが、リハビリ次第では麻痺の回復は見込める
⁂だから、リハビリで”出来ること”を増やすことはほとんどの人が可能
です。
脳の細胞は一度壊れると元には戻りません。でも、脳には「可塑性(かそせい)」といって、別の場所が新しく働きを補う力があります。

その力を引き出すのが、リハビリの役割というわけです。
脳卒中のリハビリはいつから始めるの?期間はどれくらい?
●リハビリの開始は「早いほど良い」
脳卒中(脳梗塞・脳出血)を起こした後は、できるだけ早くリハビリを始めることがとても大切です。
病気になり初めに搬送される多くの病院では、発症から24~48時間以内にリハビリを開始します。これは、「寝たきり」や「筋力低下」を防ぎ、回復を早めるためです。

専門的にいうと、この時期は先にお伝えした「脳が命令を出す働き(手足を動かせ‼という指令)を病気になったとしてもいかに絶やさないかがカギになります。
●リハビリ期間は人によって違う(*脳が障害されている場所によってはこれに限りません)
・軽度の人:1~3ヶ月ほどで退院、日常生活に戻れるケースも。
・中等度~重度の人:6か月程度かけてゆっくり回復していき、場合によっては日常生活に戻れるケースも。
・後遺症が残る場合も、継続的なリハビリで生活の質を上げることができる可能性はあります。
どんなリハビリをするの?内容をわかりやすく解説
●脳梗塞のリハビリの内容(一部)
| リハビリ内容 | 目的 |
| 寝返り・起き上がりの練習 | ベッド上で動けるようにする |
| 座る・立つ練習 | 姿勢を安定させる、足やお腹周りを強くする |
| 歩行訓練(杖や歩行器使用) | 自宅内の移動、外出やトイレ移動などに備える |
| 手の運動 | 食事で皿や箸を持つ、着替え(着る、履く、ボタンを留める等の動作を回復する |
| 日常生活動作(ADL)訓練(トイレ、入浴など) | 自立した生活を目指す(生活になくてはならない動作を獲得する) |
患者さんによっては、脳の状態・年齢・体力・やる気などによって、回復スピードも内容も変わってきます。
リハビリで本当に歩けるようになるの?
ほとんどの人が「また歩けるようになりたい」と願って、リハビリに取り組みます。
●歩けるようになる可能性は?
・軽度の麻痺であれば、数週間~数か月のリハビリで自力で歩けるようになる人もいます。
・中度~重度の麻痺でも、杖や装具を使って歩けるようになるケースは多いです。

ただし、全く動かないまま回復が難しいケースもあります。ですが、その場合も、車いす生活の中で自立してできることを増やすリハビリが行われます。

脳卒中のリハビリで大事な3つのポイント
1.継続すること
→少しずつの積み重ねが、回復につながります。
2.あきらめないこと
→回復のスピードには個人差があります。焦らず取り組むことが大切です。
3.周囲のサポート
→家族や医療スタッフの励ましが、大きな支えになります。
まとめ/脳卒中の片麻痺でもリハビリで前向きな生活ができる
脳梗塞で片麻痺になると、不安や落ち込みもあると思います。
ですが、早期のリハビリと継続的な取り組みによって、少しづつ「できること」を取り戻すことは十分に可能です。
・自分でトイレへ行けるようになった
・ご飯を自分で箸を持って食べれるようになった
・家族と外出できるようになった
こうした「小さな一歩」が、人生の大きな変化に繋がります。私たち理学療法士は、そんな前向きな一歩をサポートする専門家です。
「もうダメかも…」とあきらめる前に、リハビリには希望があることを知ってほしい。それが、この記事で一番伝えたかったことです。
最後まで読んでいただきありがとうございました。



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