リハビリは難しい・・・(ある梨状筋症候群を持たれた方を担当して)

リハビリテーション

ある外来リハビリ患者さんを担当することとなりました。

その方は、腰部脊柱管狭窄症の術後という診断で外来リハビリが開始となりました。術後の腰の疼痛(痛み)はなくなりましたが、もともと持たれていた殿部(おしり)から大腿後面(太もも裏)までの痛み(しびれ感)が表に出てきたような方でした。

痛みがある中でお仕事を長いことされていた方なので、立ち姿勢もそれに応じて変化があっており、リハビリ介入中は痛みの緩和と共に姿勢修正にも取り組んでいましたが、痛みにも山あり谷ありでなかなかうまくいかず悪戦苦闘した日々をここに紹介したいと思います。

梨状筋症候群とは・・・

主に坐骨神経が骨盤(仙骨)出口部で、なんらかの原因により股関節を支える筋肉(梨状筋)の圧迫や刺激を受け、疼痛が起きている状態のことです。

片田舎の理学療法士
片田舎の理学療法士

中年に発症しやすく、男性と女性で比較すると、女性の方が多い傾向のようですね。

梨状筋ってどこに付いている筋肉?

深層外旋六筋(しんそうがいせんろっきんと言います)の一つで、股関節を外旋させる作用を持った筋肉です。仙骨(背骨の下部にある骨盤を形成している真ん中の平たい骨)や尾骨(仙骨の先端に付いている小さい骨。言葉のごとくしっぽのような骨)の前面から大転子(太ももの上の方の外側を触っていくと分かる骨の出っ張り)にかけて付着しています。

梨状筋症候群の原因と症状は?

下記に示すこんな方に起こりやすい症状のようです。

  • 長時間のデスクワーク、車の運転を日常的に行う(座っている時間が長い)
  • 普段からの運動不足で梨状筋を含む筋肉が硬くなっている
  • ゴルフや野球など体を捻る動作の多いスポーツで、梨状筋に過度な負荷がかかっている
  • 座っているときに足を組む癖がある
  • 財布をお尻のポケットによく入れる

症状としては、慢性の持続的な痛み、ピリピリ感、またはしびれが、最初に殿部に生じ、太ももとふくらはぎの裏側の全体に広がり、ときには足にまで及ぶことがあります。梨状筋が坐骨神経を圧迫すると、痛みが強くなります

梨状筋症候群を疑うテスト(評価)

梨状筋症候群を疑うためのテストもいろいろあるようで、その中の何コか書いておきます。

(K・ボンネットテスト)

仰向けになった状態で、お尻に痛みがある方の膝を曲げて太腿をもう一方の脚の上に乗せるようにクロスし、曲げた膝がある方の手で「斜め下方に伸ばすイメージ」で押さえていきます。お尻から太もも裏にかけて痛みがあった場合は梨状筋症候群を疑います。

(Friberg Test:フライバーグテスト)

①ベッドから罹患側下肢を下ろします

②膝関節90度屈曲位にて股関節を内旋させます 

・陽性判定:症状の再現(殿部〜下肢に放散痛)が生じると陽性です

(FAIRテスト)

①患者を背臥位(仰向け)とし、検査側の股関節を屈曲させます

②検者は一方の手で検査側の膝を、他方の手で検査側の足部を把持し、股関節を他動的に内転・内旋させます

・陽性判定:検査側の殿部〜下肢に放散痛が生じると陽性です

(Paceテスト)

①患者を端座位とします

②検者(検査する方)が大腿外側に加えた抵抗に抗するように股関節の外転外旋収縮を行わせます

・陽性判定:検査側の殿部に疼痛が生じると陽性です

担当した方の当院に来られるまでの経過🤔

腰部脊柱管狭窄症の術後という疾患名で外来リハビリを利用したいと来院された方でした。

もともと若いころに両膝の手術をされてあり、膝の伸展制限(左>右)もあり見かけ上の脚長差を認めました。それから膝に水が溜まるようだったら抜く治療を定期的に行っていたようです。

社会人では看護師をされていたようで、仕事内容としては外来にて患者さんの対応など、時には患者さんを抱え上げるような介助もされていたようで、本人からも大変な時もあったとの話がありました。

そしてこの方の特徴としては、体重が人並み以上に重い…ということです。

もともと左殿部から左大腿後面にかけて痺れるような痛みがあったとのことでしたが、我慢しながら仕事を続けていたそうです。そして今回、腰部痛の出現があり診察に行った病院の方から「腰部脊柱管狭窄症」との診断にて手術をされたとのことでした。

手術は無事成功😊

手術した病院からの紹介状を手に当院の外来リハビリに診察に来られた際は、腰部の痛みはなくなったとの話でしたが、もともとあった左殿部から左大腿後面にかけて痺れるような痛み「梨状筋症候群」が表に出てきたことが今回の外来リハビリでの主訴となっています。

外来リハビリ開始時の評価

痛みに関して、朝方起き上がるときから立ち上がるまでの動作でNRS(Numerical Rating Scale)にて10/10段階、椅子から立ち上がり歩き始めの1歩目が8/10段階との話でした。

片田舎の理学療法士
片田舎の理学療法士

NRS(Numerical Rating Scale)とは、「患者さんが感じている痛み」を数字で評価するための指標です。

患者さんが感じている痛みの強さを0から10の11段階で評価します。*10段階ではないです、11段階です‼

「今まで経験した一番強い痛みを10として今の痛みがどれくらいか」を聞く方法もありますし、自分は、例えば転んで骨折した方であれば「お怪我した直後の痛みを10として、今はどれくらいの痛みか」と聞く方法をよく使います。

*その他にも、痛みの程度を表す部位に印をつけてもらうVisual Analogue Scale(VAS)、痛みの程度を言葉で表現してもらうVerbal Rating Scale(VRS)、顔の表情で痛みの程度を評価するFaces Pain Scale(FPS)というものもあります

関節可動域制限は、先にお話した通り両膝関節伸展(膝を伸ばす)に軽い制限を認めています。

筋力は、徒手筋力テスト(Manual Muscle Testing:MMT)の体幹屈曲で3、両下肢は粗大筋力テスト(Gross Muscle Test:GMT)で両下肢5でした。

立位姿勢では、体重が人並み以上に重いこと、両膝の伸展制限もあり、腰背部などの身体後面筋の筋緊張を高め、腰椎の過度な前弯を認めていました。

歩行は、何も持たずに歩くことは出来ていましたが、左下肢は踵接地時に軽度内転、内旋され、左立脚期で痛みからの逃避歩行(デュシェンヌ歩行)を呈していました。

リハビリ内容と経過

いろいろな文献を調べていく中で、評価に基づいて行ったリハビリ内容がこれです。

1.温めて筋肉を緩める

2.硬くなっている筋肉をストレッチしていく

3.股関節周囲、下腿、体幹の筋力強化を行う

4.適切な姿勢に修正していく

5.体重管理を促す

詳しいリハビリ内容は…次回(リライト)に続きます‼🙂‍↕️

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